Project Story
「AIdea Suite」がもたらす研修革命
帝人のDX人財育成強化の取り組み
- AIソリューション
- GPTソリューション
DX推進部 戦略企画グループ
グループ長 井上 匡人 様
チーフコンサルタント 柳部 太一朗 様
ネオスが提供するGPTソリューション「AIdea Suite」が、帝人様のDX人財育成研修のシステムに採用され、2024年8月に社内利用が開始されました。
今回は帝人様の担当者である井上様と柳部様に、導入に至る背景や課題、運用後の実感や成果などについてお話を伺いました。
効率化、高精度、即効性を有するDX人財育成の仕組みが誕生
DXの利活用の重要性が高まる中、帝人様のDX推進部はどのような課題解決を目指していますか?
柳部様:帝人グループでは、それぞれの部署や従業員がデジタル技術やデータを自律的に活用し、業務の高度化・効率化を進める“自律的DX” の確立を目指しています。その実現に向けて、2023年4月にDX推進部が発足しました。取り組みの大きなテーマは主に5つ。「DXプロジェクトの調査・分析」、「人財育成」「社内で運用されるDXに対する技術的な支援」、「社内外への情報発信」、「先端技術の獲得や横展開」になります。
井上様:5つのテーマを別々に進めていくのではなく、これらを有機的に結合させながら成果を積み上げて、戦略的に社内のDXを推進していくのが我々のミッションです。国内外で合わせて2万人の社員がいる中で、どのようなDX事例が社内にあるかを把握し、他社に比べて進んでいる部分、遅れている分野などを分析。成果の高い事例は社内外に情報発信をし、DXへの意識度や理解度を社内で上げていきます。そのような一連の流れの中でDX人財育成にも着手しました。
柳部様:DX人財育成では先ずは、リテラシーの向上が急務でした。そこで研修レベルを初級・中級・上級の3つに大別し、第一歩として全体の底上げを図るため、初級レベルでの研修を実施しました。コースは3つで、最初に実施したのは社員8,000人を対象としたITやDXの基礎的な素養を身に着けるDXリテラシーコースになります。そして次に行ったのが、管理職1,000人を対象としたDXの利活用における適切な意思決定力を高めるマネージャーコースです。リテラシーコースは、eラーニングなどで学んだ後に、修得度合いを調査して5段階で評価しました。その中で優秀な評価だった2,000人を選抜し、DXを推進するリーダーの養成を目的としたアドバンスコースに進んでもらいました。このアドバンスコースの実行でネオスさんのGPTソリューション「AIdea Suite」を導入しています。
どのような理由からGPTソリューション「AIdea Suite」を採用したのでしょうか?
井上様:DXリテラシーコースとマネージャーコースを終えた段階で、いくつかの課題が見えてきました。中でも大きかったのは研修前後での学習効果の測定と、学んだ後に課題を提出させるワークの仕組みの必要性です。しかし、仮に2,000人対象のアドバンスコースで実施すると、ワーク一つ一つに対して、添削、確認、集計、返信を行うと、かなりの工数がかかります。また、一連の作業を誰が行うのかという人的リソースの問題があります。さらに、仮に評価チームを組織したとして、どうしても主観的な要素が入るので、評価者によって回答に違いが出てしまう懸念も。それに見落としなどのヒューマンエラーの発生も考えられ、適切かつ平準化したフィードバックの実現は難しいと思いました。
柳部様:既にアドバンスコースの作成作業は走り始めていました。それでも、DX推進部らしくITを生かした課題を解決する方法はないかと模索を始め、GPTソリューションを提供しているネオスさんに相談することにしました。
井上様:ネオスさんには以前、当社で採用したチャットボット「OfficeBot」を担当していただいた経験がありました。既にプロジェクトが進行する中、迅速に対応して貰いたかったので、実績と信頼のあるネオスさんにお願いしたわけです。
柳部様:実際に、我々の現状と課題をネオスさんの担当者に伝えると、早速3つの案を提示してくれました。その中から、「AIdea Suite」を活用して生成AIがワークの出題とフィードバックを行う仕組みを採用したのです。「AIdea Suite」は企業や自治体などが有する情報資産を基に、さまざまなサービスアイデアをAIで高精度に生成する「アイデア・ジェネレーター」とのこと。今回はそのシステムを使って研修プログラムを考えることにしました。
「AIdea Suite」を使った研修プログラムの制作で注力した点などを教えてください。
井上様:アドバンスコースは最初にeラーニングを受講して、その後にワーク(個人学習)に取り組んでもらう形式です。簡単に制作過程を説明すると、「AIdea Suite」に当社の研修で使う教材を読み込ませて、その情報を基にAIにどのように回答させるかを指示するために、プロンプト設定の調整を進めました。
柳部様:私どもがこだわったのは、受講者の回答に対するシステムのフィードバック内容を、できるだけ前向きな表現にすることでした。単純に我々の研修作業を効率化すれば良いだけでは意味がありません。ワークに取り組んでもらう社員の学習意欲を向上させて、知識を習得してもらい、全体の底上げをするのが狙いです。受講者の回答に対する肯定的な受け止めや、最後にエールを送るという、そういう細かな調整にも重きを置きました。
井上様:私の印象ではネオスさんは、「クライアントの細部のこだわりにも、きちんと付き合ってくれる相談しがいのある会社」です。お陰様で今回の研修プログラムでも、受講生や回答の内容ごとに最後のエールがアレンジできるように調整してもらいました。受講生は生身の人間ですから、できるだけ人らしい、温かみのある対応ができたのは良かったですね。
柳部様:また、提出された回答に対して、模範解答が提案できるように設定していただいたのも「知識がより深まる仕組み」として非常に有用です。これにより受講生の中には「こういう回答はどうだ?」と、繰り返して挑戦する人も出ています。誰かに何度もレポートを提出して添削してもらうなんてなかなか難しいですから、このような現象は生成AIならではの利点だと思います。細かな設定が実現できた今回の経験を経て、改めて生成AIの可能性をすごく感じました。
今回の導入を経て感じた「AIdea Suite」の可能性をお聞かせください。
柳部様:もっと早くに「AIdea Suite」を導入するべきだったというのが率直な感想です。受講前後の修得度合いを比べたアセスメントの精度が上がり、世の中や他社と比較した帝人グループの現在地の解析にも生かせると考えています。また、弱点の補強にも長所の伸長にもこれらのデータは役立つでしょう。実施する我々も受講者も効率化が図れ、今回のような大人数を対象にした全体の底上げの研修との親和性は非常に高かったです。
井上様:効率化、高精度に加えて即効性も大きな点です。例えば、昔の社内研修では通信教育を取り入れていました。受講者は送付されたテキストを読み、同封の用紙に論文を書いて投稿する。すると1か月くらいで添削が返ってくるわけですが、そのころには自分が何を書いたかは全然覚えていなくて、効率的な学習効果を得られるかは疑問です。即効性は学習意欲の向上に大きく影響があると思います。
柳部様:今回で「AIdea Suite」の有効性が実証できたので、今後のDX人財研修にも導入していきたいと考えています。また、当社では他にも事業ごとにいくつもの人財教育を実施しているので、今回の事例を社内に紹介していく予定です。研修をしたもののフィードバックができていないなど、今回の我々と同じような課題を抱えているケースは多いと思います。
井上様:「AIdea Suite」は研修支援だけではなく、さまざまなシーンで有用できるGPTソリューションだと聞いています。人財教育以外にも各事業部が抱える多岐にわたる課題の解決に有効ではないかと思います。例えば、営業部門ではオンラインでのミーティングが増えて、若手が先輩社員に営業話法などを気軽に聞く機会が減っています。それを補う仕組みを生成AIで実現することもできるでしょう。
柳部様:社内で定期的に開催されるグループディスカッションでも、決められたテーマについてワイワイと話し合って終わりではなく、データを蓄積していき生成AIからアドバイスをもらったり、または一緒にディスカッションに参加してもらうことも考えられますね。
井上様:帝人グループでは多岐にわたる事業を展開しており、各事業がリソースとなるたくさんのノウハウや情報を有しています。それらとDXを上手く融合させれば、さまざまな可能性が広がると考えています。そのためにも、DX人財育成をブラッシュアップしていく予定で、ネオスさんには伴走者としてのサポートを期待しています。
Message
ネオスとの生成AIを活用した取り組みについて
今回、生成AIを使った人財育成の取り組みは帝人グループでもおそらく初めての試みです。DX推進部として社内で率先して実施でき、経験と知識を詰めたのは今後の大きな糧になります。ネオスさんは、ツールで実現できることの限界と、その限界を超えるために人をどのようにサポートすべきかという視座をお持ちです。今回も短時間で、受講者が利用しやすい仕組みに仕上げてくれました。ネオスさんは数多くの事例を手掛けた豊富な実績を有しているので、今後もさまざまな角度からご提案いただきたいと思います。(井上様)
当初我々だけでアドバンスコースを考えている際は、ワークへのフィードバックは想定していませんでした。そのためネオスさんの「AIdea Suite」の導入後に、既に我々でつくった設問を用いようとしたのですが、思ったようなワークの出題やフィードバックが上手く出ないという問題も発生しました。その時にネオスさんが、設問の作成なども一緒に考え提案してくれて、最終的には我々がつくったワークよりも、充実したワークができあがりました。AIやDXの技術屋さんというのではなく、全体的にソリューションやコーディネートしていただける点は、ネオスさんの特徴の一つだと思います。(柳部様)
帝人株式会社
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